学生が利用できる給付金と奨学金制度の違い

はじめに

学生にとって、学費や生活費の負担は大きな問題です。その負担を軽減するために、多くの給付金や奨学金制度が設けられています。しかし、給付金と奨学金にはそれぞれ特徴や条件が異なり、選択する際に混乱することもあるでしょう。本記事では、学生が利用できる給付金と奨学金の違いについて詳しく解説し、効果的な活用方法を紹介します。

1. 給付金と奨学金の基本的な違い

1.1 給付金とは

給付金は、国や自治体、民間団体などが特定の条件を満たす学生に対して支給するお金です。給付金は基本的に返済の必要がなく、一度受け取ると自分の資金として使えます。そのため、学費や生活費の補助として活用しやすいのが特徴です。

メリット：返済の必要がない
デメリット：支給対象が限られていることが多い

1.2 奨学金とは

奨学金は、学費や生活費の補助を目的として、学生に貸与または給付されるお金です。奨学金には返済義務のある「貸与型」と、返済の必要がない「給付型」の2種類があります。返済義務のある貸与型の場合、卒業後に働き始めてから返済を行います。

メリット：多くの学生が利用できる
デメリット：貸与型の場合、卒業後に返済が必要

2. 給付金の代表的な制度

2.1 高等教育の修学支援新制度（給付型奨学金）

高等教育の修学支援新制度は、国が行う給付型の奨学金制度です。大学や専門学校などに進学する低所得世帯の学生を対象とし、返済の必要がない給付金が支給されます。また、この制度では、授業料や入学金の減免も同時に受けることが可能です。

対象者：住民税非課税世帯またはそれに準ずる世帯の学生
支給額：自宅通学の場合で年間約20万円～46万円程度、下宿生の場合で年間約30万円～91万円程度

申請方法：

進学先の学校やインターネットから申請書を入手します。
家計状況や学業成績を確認する書類を提出し、審査を受けます。

2.2 地方自治体や民間団体の給付金

地方自治体や民間団体も、学生向けの給付金制度を提供しています。地域の特産品に関連する学部に進学する学生や、特定の成績を収めた学生に対して支給されることが多いです。支給額や条件は団体ごとに異なります。

例：地方創生給付金、各市区町村の奨学金など

申請方法：各団体や自治体のホームページで確認し、申請書を提出します。

3. 奨学金の代表的な制度

3.1 日本学生支援機構（JASSO）奨学金

**日本学生支援機構（JASSO）**は、日本最大の奨学金提供機関で、多くの学生が利用しています。JASSOの奨学金には、給付型と貸与型の2種類があります。

給付型奨学金：返済不要で、支給額は世帯収入や学業成績によって決まります。
貸与型奨学金：卒業後に返済が必要で、無利子と有利子の2つのタイプがあります。支給額は月額20,000円から120,000円程度（無利子）、30,000円から150,000円程度（有利子）となります。

申請方法：

学校を通じて申し込みを行います。
申請書類や家計状況、成績証明書などを提出し、審査を受けます。

3.2 地方自治体や企業の奨学金

地方自治体や企業も、独自の奨学金制度を設けています。企業の奨学金では、卒業後にその企業で一定期間働くことが条件となる場合もあります。

例：地方自治体の無利子奨学金、特定の企業による給付型奨学金など

申請方法：各自治体や企業のホームページで確認し、申請書を提出します。

4. 給付金と奨学金を選ぶ際のポイント

4.1 返済の有無を考慮する

給付金は返済の必要がないため、学費や生活費を負担せずに進学したい方におすすめです。一方、貸与型奨学金は返済が必要なので、卒業後の返済計画を立てたうえで利用することが重要です。

4.2 利用できる制度を最大限活用する

給付金と奨学金は、併用することが可能な場合があります。特に、高等教育の修学支援新制度とJASSOの奨学金は、併用して受けることができるため、利用できる制度を最大限に活用することで負担を軽減できます。

4.3 条件をよく確認する

給付金や奨学金には、それぞれ支給条件や申請要件があります。例えば、家計状況や学業成績、進学先の学部などが条件となることが多いため、自分が条件を満たしているかを確認しましょう。

4.4 返済計画を立てる

貸与型奨学金を利用する場合は、返済開始時期や返済期間、月々の返済額を事前に確認し、無理のない返済計画を立てることが重要です。JASSOの奨学金の場合、卒業後から数か月後に返済が始まりますので、就職活動や収入を考慮して計画を立てましょう。

5. 給付金・奨学金を受け取る際の注意点

不正受給に注意：虚偽の申告や不正な手段で給付金や奨学金を受け取ると、返還を求められるだけでなく、法的な責任を問われることがあります。正しい情報を申告するよう心がけましょう。
家計状況の変化に対応する：給付金や奨学金の支給条件は、家計状況に大きく影響されます。家族の収入が変わった場合は、速やかに報告する必要があります。
支給額の見直しを行う：給付金や奨学金の支給額は、毎年見直されることがあります。特に、進学後の収入や家計状況によって支給額が変動する場合がありますので、定期的に確認しましょう。

まとめ

学生が利用できる給付金と奨学金は、それぞれ特徴や条件が異なります。給付金は返済不要であり、低所得世帯や特定の条件を満たす学生におすすめです。一方、奨学金は多くの学生が利用できる制度であり、貸与型と給付型があります。自身の状況に合わせて最適な制度を選び、学費や生活費の負担を軽減することが大切です。本記事を参考に、給付金や奨学金の活用方法を検討し、安心して学生生活を送りましょう。